Fed 2(タイプD) 今は安いけどいずれ高くなっちゃうかも・・・

  みきみきさん


 なんとなくロシア物というのは引かれるが、それはやはり中古がいいと思う。極寒の地の不自由な、おそらくは自分が想像するよりも苛酷な誰かの人生をおまえは見取ってきたみたいな雰囲気がモノを買う前から感じられるからだ。

 レンズが良いという風評も手伝って、憧れはつのるばかりだったが、いかんせん資料がない。そんなに高いものではないが、変な後悔はしたくないので様子を見ていたところ月刊本で特集をやってくれたので、とりあえずゾルキー3の購入を検討した。

 ロシア物は耳輪のないカメラが多いので注意しなければならないが、このカメラはそれがあるうえファインダーの倍率が高い。スタイルは軍艦部が妙にモッコリしていて不細工と思う向きもあるかもしれないが、かわいいとも言える。

 業者の広告を見ると50ミリレンズ、ケース付きで2万5千円とのことで、ケースなどどうでもいいと思ったが、値段としては手ごろに感じられたので業者に電話すると「ある」と言う。

 さっそく代引で宅配してもらい、翌日届いたのでバリバリと箱を開け、取り出して見てみるとなかなかよろしいではないか。感じのいい梨地仕上げでファインダーもクリアだ。倍率も100パーセントに近い。

 しばらく遊んだあとフィルムを詰めてテストしてみるとなんとカブっている・・・。ショックを受けたが何かの間違いかもと思い、裏蓋をはずし(ニコンFの様にカッパリとはずれる)、光に透かしてみると引っ掻いたような筋に沿って点々と光が漏れてきているのが観察できた。おそらくは、裏蓋脱着の際フィルム圧板のカドで押し掻いたものだろうと思われる。

 早速業者にテストフィルムと共に返送したところ、返金してもよいが、幕交換をするなら1万5千円程追い金が必要になると言う。無論そんなお金は出したくないので、別のカメラの在庫を聞いたところ、いろいろなカメラに混じって自分が次に買おうと思っていたフェド2がある。

 レンズ、ケース、箱付きで同額で良い。送料はサービスさせてもらうとのことなので、迷わずこれを注文した。届くまでの2日間は、月刊誌に載っていた写真を見て暮らしていた。

 前置きが長くなったが、こうしてフェド2が我家にやってきた。

 ぶ厚い金属外装は、所々変な曲線があって、まるで粘土の金型で作ったように見えるところがロシア的だ。基線長は長大でピントは良さそうだし、強力な視度補正機構はさらにロシアらしさに満ちている。

 ンドラを撮る際には気にならなかっただろうブライトフレーム無しのファインダーも、子供を撮る場合は少し困りものだ。でも気合いで写せばちゃんと写ってくれる。

 レンズは、アルミ製のインダスタール50ミリF2.8が付属していた。レンズに憧れて買っておいて、それはないと思うかもしれないが、何となくこのレンズは使っていない。また使うこともあろうかと思うが、今はキャノンのセレナー50_を使用している。多少オリジナルより重くなったが、モノとしての立ち上がりは良くなった。ネガを詰めて撮ると、鬼のように生えたカビのせいか、変にキッチュな描写をするのだ。

 皮張りがフェイクであるというのは本当である。ボディーの金属自体に皮模様が刻まれているとか樹脂の圧着加工であるとかいわれているが、いずれにしても剥がれる心配はない。ただし使用されている黒色塗料が粗悪品のようで、触っていると手が黒くなる。東急ハンズに接着剤のついた極薄の皮が各色売っていたので、薄茶色の皮でも買って張りつけてやろうかと考えている。

 「ライカと比べて・・・」という評価をよく見る。使用感を伝えようとする意識の中でスタンダードにライカを求めての言葉ならそれもアリだと思うが、続く句が「高級感に欠ける」などというのでは、本当のカメラ好きとは言えない。気張らず操作を楽しみ、ゆっくりと写真を写せるいい機械である。

 非常にクラッシックな印象を受けるこのカメラだが、製造は50年代後半から60年代初頭にかけてであり、そんなに昔の製品ではないのだ。小学生の私が田圃で遊び呆けていたあの頃このカメラはラインオフし、キエフかどこかの暖かい(と思いたい)家庭に買われていったのだろうか。べっこう色に使い込まれた速写ケース、破れ放題ながら丁寧にセロテープで補修された付属の箱は、いかにこのカメラが大切にされてきたかを物語っている。


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